
長野県辰野町に位置する「小野のシダレグリ自生地」は、全国でも珍しい“しだれる栗の木”が数百本も群生する、まさに奇跡の森です。その独特な樹形と幻想的な景観は、訪れる人々を魅了し続けています。
シダレグリとは?──自然が生んだ芸術作品
シダレグリは、火山活動の影響によるシバグリの突然変異種とされ、枝が垂れ下がる「枝垂れ」と、頂芽が数年で枯れて側芽が成長するという二つの性質を持ちます。これらの特性が組み合わさることで、稲妻のように曲がりくねった独特の樹形が形成されます。
このようなシダレグリの群生地は全国でも数少なく、小野のシダレグリ自生地はその中でも最大規模を誇ります。約2.24ヘクタールの斜面に900本以上のシダレグリが自生しており、1920年(大正9年)には国の天然記念物に指定されました。
四季折々の美しさ──特に冬の雪化粧は必見
シダレグリ自生地は、四季を通じて異なる表情を見せてくれます。春の芽吹き、夏の深緑、秋の紅葉、そして冬の雪景色。特に冬、枝に雪が積もった姿は「天下の奇観」と称され、多くの写真愛好家が訪れるほどの絶景です。
保全活動の現状と課題
この貴重な森を守るため、地元の「小野のシダレグリ自生地保全友の会」が中心となり、草刈りや除伐、外来植物の除去などの保全活動を行っています。しかし、会員の高齢化や人手不足が課題となっており、若い世代の参加が求められています。
アクセス情報と訪問時の注意点
- 所在地:長野県上伊那郡辰野町小野
- アクセス:
- 中央自動車道伊北ICまたは塩尻ICから車で約20分
- JR中央本線小野駅下車、タクシーで約5分
※冬季は道路が除雪されていないため、訪問の際は十分な注意が必要です。
未来へつなぐために、私たちができること
この美しい風景を次世代に残すためには、私たち一人ひとりの意識と行動が重要です。地元の保全活動に参加する、訪問時のマナーを守る、SNSで情報を発信するなど、小さな一歩が大きな力となります。
自然が生んだ奇跡の森「小野のシダレグリ自生地」。その美しさと貴重さを未来へとつなぐために、今、私たちにできることを考えてみませんか。