身近に起きている気候変動

6月に残る雪が問いかける、未来のあり方

―乗鞍岳から考える気候変動とサステナビリティ―


■ 信州を象徴する風景、6月の乗鞍岳

長野県にそびえる名峰乗鞍岳。標高3,000メートル級の山として、「万年雪の山」とも呼ばれています。
その姿は、初夏であってもなお雪をまとい、6月とは思えない白銀の風景を私たちに見せてくれます。

この写真は2019年6月、一ノ瀬園地から撮影されたもの。
青空の下で静かに佇む乗鞍岳の雪化粧は、信州の自然の雄大さと清らかさを象徴する光景といえるでしょう。


■ 「当たり前」が失われつつある現実

しかし近年、こうした風景も気候変動の影響を受けつつあります。

地元関係者や登山者の間でも、「雪の残り方が年々少なくなっている」という声が聞かれます。
このまま温暖化が進行すれば、かつて当たり前だったこの季節の風物詩が、
未来の世代にとって“記録でしか知らない景色”になる可能性すらあります。

自然は、静かに、しかし確実に変わりつつあるのです。


■ サステナブルな社会に必要なのは、「継承する意志」

**サステナビリティ(持続可能性)**とは、単に今を維持するだけではありません。
自然の営みを理解し、次の世代に価値ある風景や体験を手渡していくことです。

宿泊業に携わる私たちにとっても、それは単なる風景ではなく、
地域資源としての価値を見直し、守っていくという使命があります。

エネルギーの使い方、施設運営の仕方、観光の在り方——
すべてにおいて環境との共生を前提とした意思決定が求められる時代になりました。


■ 観光と環境は対立ではなく、調和の関係へ

観光業が自然環境に与える負荷は無視できません。
一方で、自然がなければ成り立たない観光地も多く存在します。

乗鞍岳のような絶景も、その繊細なバランスの上に成り立っています。
その美しさを未来に残すには、今ここに生きる私たちが、
**「守るための観光」「伝えるための旅」**という意識を持つ必要があります。


■ 美しい風景が私たちに託す“問い”

6月の雪に包まれた乗鞍岳は、ただ美しいだけの存在ではありません。
その静けさは、私たちに問いかけているようにも感じます。

― あなたは、この風景を未来に手渡せますか?
― あなたの暮らしや仕事は、自然と調和していますか?
― あなたの選択は、誰かの未来に寄与していますか?

それは、ビジネスを超えて、人としての生き方そのものへの問いでもあるのです。


■ まとめ:未来のために「気づく」「行動する」

乗鞍岳の雪景色は、過去から現在へとつながってきた自然の贈り物です。
これを未来へとつなぐバトンとして受け取り、
私たち自身の働き方や暮らし方を、もう一度見つめ直してみませんか?

美しい風景は、未来を思う心が守る。
それこそが、サステナビリティの原点であり、サステナNaviの使命でもあります。

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